2017年度 理事長所信

未来を描く幸継者となれ

基本方針
1.  幸継者となる会員の資質向上
2.  未来を見据えた会員拡大の推進と新入会員の育成
3.  4 THE SHINING KYOTOを基にしたひとづくり・まちづくり
4.  JCI・日本JC・近畿地区(協)・京都ブロック(協)への協力並びに出向者支援
5.  市民に未来を託される公益社団法人の運営

はじめに

 戦後、物資が不足し荒廃したまちで、心身共に疲弊した先の見えない不安の中、日本の復興を願い、強い使命感と気概、そして熱い情熱をもって、私達の先輩諸兄は1951年7月21日、京都青年会議所を設立されました。「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」を掲げ、「明るい豊かな社会」の実現を目指しJC運動に邁進され、めまぐるしく変化する経済状況や科学の進歩と急激に変貌を遂げる社会環境の中、明るい豊かな社会に向け行動された結果、日本は世界第2位の経済大国にまで発展しました。
 しかし私達は、「今」新たな目的を定め、未来を明確に描かなければならない時期に来ているのではないでしょうか。物質的な豊かさを得て時代を謳歌できた頃から、度重なる甚大な災害や事件、不況を乗り越え、東京オリンピックなど明るい兆しが見える一方で、刻一刻と更新され続ける大量の情報に晒される中、先が見えないことから起こる不安を感じることはないでしょうか。これから先の時代がどんなものであるか想像し答えられるひとはいるでしょうか。新たな時代を目の前にして、私達が求めるものとは一体どのようなものでしょうか。

幸継者とは何か

 ひとは、心の豊かさを求め、「幸せになりたい」と漠然と願い、様々な環境から新たな出会いや気づきを得て、そこから挑戦を繰り返し、自らの幸せを実現しようと行動します。しかし、それは難しく、挫折しそうになります。そこで諦めてしまうのではなく、考え続けた結果、目的が明確になり、前を向いて行動することができた経験は、誰しも少なからずあるでしょう。たとえ、立ち止まったとしても、考え続けようとするならば、再び歩き出すことができるのです。
 京都には、文化芸術や経営理念、まちの人々が育んだ思いやり、そしてたくさんの知恵を継承してきた歴史があり、先人達がそれを引き継ぎ、ひたすらに考え続けられてきた結果として、「今」このまちに幸せが存在するのです。時代を担う私達は、その思いを確りと引き継いで、このまちからたくさんの学びを得ながら、自分を幸せにし、ひとを幸せにし、世の中を幸せにすることのできる明確な未来を描く幸継者にならなければならないのです。
 京都青年会議所には、失敗を恐れず行動する力で、できないことをかたちにしてきた65年の歴史があります。事実として、私達の先輩諸兄がそのことを証明してくれています。時代の変化を察知し、時代に先駆け、英知と勇気と情熱をもって行動するのが私達京都青年会議所です。66年目の運動を展開するにあたり、「今」このまちにある幸せを感じながら、幸継者として過去と未来を継ぎ、明確な目的である幸せを見据え、果敢に挑戦することで、共に未来を創造して参りましょう。
 幸せを明確に描くということは、最も個人的で、内向的なものであり、大変むずかしい作業です。なぜなら、その答えが自分の心の中にあるからです。自分と向き合い、時に自分で納得していくことでしか発見することのできない私達の人生最大の課題なのです。

幸継者となりうる会員の資質向上

 これまでの人生において、恩師や尊敬できる仲間、そして愛するひと、また、心に触れた風景や書籍を発見するといった様々な出会いの中で、自らが気づけていなかった魅力や可能性に気づかされることがありますが、自分だけでは気づくことは大変難しいものです。多くの出会いや経験を通し、自分と比較することでそのものとの違いを発見することができ、自分自身の発見に繋がるのです。そして、多くの出会いの中で自分自身を見つめ直し、様々な手がかりを得ながら考え続けることで自らの目的を明確にし、未来を描けるよう歩んで参りましょう。
 また、京都のまちには有形無形の文化財をはじめ多くの文化が存在します。文化とは、特定地域の人々が集団として身につけてきた習慣や知恵、または技の集積であり、政治から商業、ものづくりから祭事、さらには衣食住から人づきあいに至るまで、ありとあらゆる局面において世代を越え変化をしながら伝承されてきた、地域生活に浸透している作法のことを言います。つまり私達の身近な日常に溶け込んでいるもので、改めて意識するためには、細心の注意をもって考える必要があります。そもそも、魅力であるということ自体気づけなくなっているその作法を、改めて学び直すことで、本来の魅力を理解することから、自らの目的を明確にする手がかりを得られるよう取り組んで参りましょう。
 考え続けること、思いを継いでいくことは、漠然とした気持ちでは継続することはできません。未来を描くことのできるひとは、様々な出会いから手がかりを得て、未来について考えています。そうすることで、時代の変化に対しても、確りと自分の意思を強くもつことができ、心身は共に充実することで先の見えない不安も解消され、明確になった目的から未来を描くことができるようになる、それが幸継者なのです。
 月に一度メンバーが一堂に会する例会は、運動の方向性を確認すると共に、メンバー同志の交流、京都青年会議所の「今」を感じる貴重な事業です。会員相互の友情を築くと共に、例会で学び得たことから、明確な目的をもち、行動する機会に繋げて参りましょう。そして、学び得たことを会社や家庭など、私達の身近なコミュニティに伝え、京都の未来を考えることから地域のリーダーとして力を発揮できるよう取り組んで参りましょう。市民と共に学ぶ例会では、京都青年会議所が取り組む運動について理解していただくため、メンバーが市民に確りとお伝えすることが大変重要です。様々なかたちで取り組みを進め、認知に繋げられるよう発信し、取り組んで参りましょう。
 明るい豊かな京都の実現には、共に行動をする仲間の拡大が必要であり、延いてはそれが私達の運動の拡大に繋がります。私達の事業を通し、私達と同じく京都のまちの発展を願う青年に、入会後の未来をお伝えすることで、共に志を同じくする仲間として入会していただけるよう取り組んで参りましょう。会員の拡大に向け、京都のまちで活躍されている先輩諸兄の協力を得て、私達も各事業において入会を促進できるよう青年会議所の意義や魅力を伝え、また参加していただいた事業においても入会後の内容などを十分伝えられるよう拡大に繋がる取り組みを実践して参りましょう。
 また、入会を希望される方には、京都青年会議所の正会員として、積極的に活動していただけるようこれまでの歴史や創始の精神、またルールやマナーを学んでいただきます。そして、相手を想い行動する心を感じていただくと共に、幸継者となる青年の育成に繋がるよう取り組んで参りましょう。
 青年会議所には、自分を成長させるための機会が数多く存在します。自分が成長するためには、まずは活動に参加し、積極的に行動しなければなりません。魅力に溢れるメンバーと出会い、共に活動する中で、その努力や成長しようと自己研鑽を積む姿からは、多くのことを学ぶことができるでしょう。
 相手を理解することで、「今」の自分を知る。自分を理解することができれば、自らの幸せを明確にすることができ、未来を描くことができるのです。そして、メンバーと共に切磋琢磨し、互いに支え合い信頼関係を築くことで、果敢に挑戦する勇気を湧いてくるのです。

4 THE SHINING KYOTOを基にしたひとづくり・まちづくり

 昨年、創立65周年の折に発表いたしました2010年代新行動指針「4 THE SHINING KYOTO」の改訂版に基づき、私達が「今」、未来を描くために何をしなければならないかを明確にし、先進的な活動をする意識をもって、積極的に運動を展開して参ります。そして、公益社団法人として6年目を迎える本年、より公益性の高い活動を意識し、社会のニーズや変化に先駆け、共に運動を進めて参りましょう。
 京都は、国際文化観光都市として、国内外の観光客増加に向けた取り組みが進められています。観光とは、「光を観る」と書きます。ごく日常の出来事やまちの生活に根付いた文化が、まちの光として魅力を発し、そこに価値が存在するからこそ、それを観ようとひとが集まって来るのです。京都の未来を考える機会から、観光や文化について学び、京都の未来を描けるよう取り組んで参りましょう。
 2013年11月には、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。世界中の人々に改めてその価値が認めらたことで脚光を集めることになった良い例ではないでしょうか。文化について改めて学ぶことから、新たな気づきや学びを得る機会とし、京都の未来を描くことから、京都のまちの文化について発信ができるよう取り組んで参りましょう。
 未来を描くひとづくり事業では、京都のまちの文化に触れる機会を創出することから、改めて学ぶ機会とする中で、京都のまちのひとが明確な目的をもち、行動することができるよう取り組んで参りましょう。そして、未来を描くまちづくり事業では、京都のまちの現状を知ることや市民にとっての観光の捉え方を考える機会といたしましょう。そして、国際文化観光都市として今後どのように発展していくのかを市民と共に京都の将来を考える機会となるよう取り組んで参りましょう。文化を学ぶことから自らの目的を明確にし、行動することで京都の未来を描けるよう、ひとづくり、まちづくり運動を進めて参りましょう。
 京都JC文化少年団の実施では、次代を担う子ども達に、京都の有形無形の文化に触れていただくことで感性に訴え、郷土愛を育める取り組みを進めて参りましょう。団体行動から、他を思い助け合う公徳心や隣人愛を育み、ボランティアスタッフと共に事業を盛り上げることで、未来を描けるよう取り組んで参りましょう。
 わんぱく相撲京都大会は、本年31回目を迎えます。本年度も日本を代表する競技の相撲を通して、子ども達がお互いを慮る心と、感謝する心を育んで参りましょう。協力いただくボランティアスタッフと共に大会の未来を描き、構築することで、時代を担う子ども達の成長を見守り、協力いただく各団体と連携し取り組んで参りましょう。
 日本青年会議所・近畿地区協議会で行われる人間力大賞事業には、京都のまちで人間力が傑出したひとを発掘することから、全国に発信して参りましょう。
 京都青年会議所は、祇園祭にて大船鉾の復興から支援と協力を続けてきました。150年ぶりの復活から本年で4年目の巡行を迎えます。本年度も巡行や諸行事に協力させていただくことはもちろんのこと、京都青年会議所として共に価値を高め、京都のまちに貢献できるよう、関係諸団体と協力し取り組んで参りましょう。
 近年、全国各地で集中豪雨や台風、地震など大きな災害による被害が報告されています。京都のまちにおいても、甚大な被害が出る災害が起こると予測されています。市民の防災意識や知識を向上させ、災害発生時の初動対応を公助に頼らず、それぞれのコミュニティにおいて、共に助け合う精神で取り組めるよう進めて参りましょう。
 愛の献血運動では、多くの市民に参加いただくことがまちの未来に繋がるということを発信し、献血の重要性や社会貢献運動を理解していただけるよう取り組んで参りましょう。
 私達の運動を認知していただく広報活動では、多くの市民や他団体に理解していただけることが重要です。京都青年会議所の活動を確りとお伝えできるよう取り組んで参りましょう。また、HPを使った発信やSNSでの情報の拡散を確りと計画的に行って参りましょう。そして、事業別の各対象者に合わせた広報手法を取り入れることで、京都青年会議所及び事業の発信に繋げて参りましょう。
 京都会議は、日本青年会議所の年初を飾る会議です。これまで先輩諸兄が確りとした下支えを続けてこられた結果、本年も京都で開催をしていただけるのです。日本青年会議所が素晴らしい運動のスタートを切っていただくため、本年度も確りと下支えができるよう準備を進めて参りましょう。そして、全国から入洛される同志には、おもてなしの心で接し、京都での滞在を有意義に感じていただけるよう取り組んで参りましょう。心からの歓迎と気持ちのこもった協力や支援は、京都の魅力の発信にも繋がります。そして、市民にも京都会議の開催を理解していただけるよう、行政や各団体からの協力をいただきながら取り組んで参りましょう。

JCI・日本JC・近畿地区(協)・京都ブロック(協)への協力並びに出向者支援

 出向の機会はLOMでは経験できない多くの学びや気づきを得る大きなチャンスです。日本青年会議所の運動から学びや気づきを得ることは、結果的に京都青年会議所、そして京都のまちの発展に繋がります。 また、本年度は、公益社団法人日本青年会議所近畿地区京都ブロック協議会に会長を輩出させていただきます。京都青年会議所を挙げて支援して参りましょう。
 JCI・日本JC・近畿地区(協)・京都ブロック(協)が開催する大会、諸事業には多くの正会員で参加し、訪れたまちで出会う文化に触れることから、新たな気づきや学びに繋げて参りましょう。また、姉妹JCとの交流を積極的に行うことで、相互理解を深め、友情を育む機会といたしましょう。国内外のJCメンバーと友情を育み、京都青年会議所を代表して出向しているメンバーの支援に繋がるよう参加すると共に、気づきや学びを今後の青年会議所運動に繋げて参りましょう。そして、参加協力する諸大会においては京都の文化の魅力を拡げるチャンスと捉え、確りと発信して参りましょう。

市民に未来を託される公益社団法人の運営

 私達の立ち居振る舞いや行動は、そのまま京都青年会議所の姿として捉えられます。そのことを十分理解し、活動に取り組むと共に、常に見られているという意識をもって行動に繋げて参りましょう。私達が新たな価値を生み出し、行動することで存在感を高め、京都青年会議所が社会から理解や信用を得られるよう活動して参りましょう。そして、行政からの依頼事項についても確りと対応すると共に、京都の未来を考え続け、市民に未来を託していただけるよう運動に邁進して参りましょう。

結びとして

 私は学生の時、現代芸術作品であるマルセル・デュシャンの「泉」に出会いました。私達が当然だと思い込んでいるものを、日常から切り離し、本来の機能を消失した全く別のものとして展示した作品でした。見せ方を変えるというシンプルな方法で芸術の既成概念を覆した表現は、どれだけ考え続けて創造されたのかということに思いを馳せたとき、自然と幸せの笑みがこぼれました。そして、価値には様々な見方があり、自分が多様性を認めることができれば、新たな出会いや気づきを得ることにも繋がるのだと強く感じることができた瞬間でした。

 私達が、普段当たり前だと思い込んでいる物事にも細心の注意を向け、その本質と向き合い、決して当たり前ではない「今」に感謝し、すべての出会いを大切にしましょう。そして、幸せという心身が共に充実し、多様な価値観を認め合える平和で共存した状態を目指すことで、私達は「今」幸継者となるのです。